『停電の夜に』 ジュンパ・ラヒリ

01/01/1970

友達の感想を見て、これは読みたい!と思った本。
そんな本はたくさんあるんだけれど、運良くその日は夕方空いていてふらりと立ち寄った小さな本屋さんにその本があったから。すぐに手にとった。
ピューリッツァー賞を取った(ピューリッツァー賞には思い入れがある)というこの作品。
買ってすぐ、家のそばのcafeに入り表題になっている『停電の夜に』を読む。
もう顔をしかめちゃうくらい胸が苦しくなった。
思わずぱたん、と本を閉じてしまいたくなったくらいに。
お願いだから、とふたりの幸せな結末を願ってしまったくらいに。

いつのまにか、どうして色んな事をあきらめていっちゃうんだろう?そうして、諦めたあとでもどうして胸に残る風景はあんなにきらきらしてるんだろう。
まるで余計に今との色合いの差を際立たせようとするかのよう。
なんにも忘れるわけにはいかない。
だから苦しいし、幸せだし…なんだけど。だから捨てたいとは思わないんだけど。
意識にのぼらないくらいのほんのほんのかすかな疵が、耐えずなにかをほろほろ零してゆく。
いつのまにかこころのどこかを空っぽにするまで。

つらいな。
私は、永遠を求めすぎだろうか。
夢でしかないの?
たんたんとむかってゆくその先が恐い。
時間が恐い.。

変わっていってしまったそのあともちゃんとこのつらさはみずみずしく心に刻まれる。
平気なふりをしながら、本当はずっしりとやりきれないたくさんの時間を抱えてる。
ちゃんとそこに立ち向かえるかな。
泣いたりぼろぼろになることは、いつかおわるとわかっていてもやっぱり身構えてしまう。やめて、って。待ってほしい、とそのきらきらの時間だけが止まって永遠でいてほしい、と子供みたいにぐずる。
想いは完璧に吹き飛ばされることはない。いつでもなにかがちくちくと胸を刺す。
時には形を変えて。
残像のようにフラッシュバックする。

完全になにもかもを共有することはできない。
わかってる。

闇がみつめたお話。
優しくて、そして苦い。

停電の夜に