怖がらずに、と彼女はいう

03/02/2012

ピナ・バウシュに出演する年をかさねた男のひとの存在はどこか『ベルリン・天使の詩』の天使に繋がるような気がしていた。
謐かに大きな翼を背負い、ひとりで見つめながら瞳は色をうつさない。
誰にもその像を決められることがなく立つ、侵しようのない輪郭のような。

ピナのところで踊っている女性のひとりは、ずっとピナと話せなかったと話していた。
とても小さいからだで彼女の踊りはものすごかった。
わたしはというとどうしてもひとと接することにおいてしょっちゅう恐れたり寂しさに陥ったりする、けれど踊ることだけではなにも怖くない、ような気がすることに重なってしまったりして、息も出来ずに見てた。

どうして踊る時だけは何もこわくないんだろう。
ほかの何ものの赦しも必要がないからか、と思ってみたりもするけれどそんな傲慢なことでもない、ほかの何もできないから潔く諦めているからかとも思ってみたりするけれどそんなぺらぺらしたことでもない、じゃあなんだろう、
なんだろう。
誰にも像を決められることがなく立つ、ひとりで生きていることをその都度知るからなのかもしれない。
自分という輪郭しかそこにはなくてだから世界のなかに立っている、はじめて何かをやりとりできるスタートにいる、深い影をともなってそこでやっと、ひかりのことを知ることができるからなのかもしれないな、
まだ考え中だけど。