半時、あるく

06/18/2012

長い線路沿いを歩きながら何本もの電車に追い抜かれる。
大人になったら夜道が怖くないなんてうそだ。
夜が不思議じゃないなんてうそ。
たくさんの花のかおりの中を縫って家に近づいていく。
みんななんて静かに暮らしているんだろう。
漏れているのは当たり前の灯りばかり。

乾ききらない雨水が引きずられて信号の赤が揺らめいて伸びる。
また、あの紫陽花のことを思い出す。
生きられなかった雛と分け合う秘密を。

器用に仕事を覚えてゆく時間を惜しいと思いながらも疑問や経験やかかわりが編まれてゆくことはつまらなくない。
子供の頃から何にでも楽しみを見つけることが好きでそのことをさいわいにおもう。
じっとしていることはやっぱり、今でも得意じゃない。

ボイラーがお湯を沸かし直す音がする。
半年前まではこの音は聞こえなかったし、7年前はひよどりがどんなふうに歌うか知らなかった。