朝焼け

11/11/2012

鳥と同じくらい早起きしたら東の空が美しかった。
暗くて、誰も近寄れない深い場所にある宝石みたいだった。
顔を洗ってベッドに戻ってもう一度見たらもったいなくなってカメラとタバコをパーカーにつっこんで走りに行くことにした。
このあいだ金時山に登ったらほんとに持久力がなかったし。今度の山登りで立ち止まって進めなくなったりして山小屋に辿り着けなくて野宿になったら困るし。

東の空がずっと見えるようにして走るけどここはぎざぎざの山の頂上だからちょっといくとすぐに地平線が見えなくなってしまう。
鳥が飛びながら私のことを少し見る。
椋鳥はわたしのことを気にしない。
まだ若いカラスの羽音は軽かった。

行ってみたいと思っていた橋を渡ってみたらちいさな素敵な道に出た。
片側に大きな木が並んで細い坂が緩やかにどこかにつながっている。そのどこかに登り切った時に雲が真っ赤になっていたから、階段から降りずに空を見ることにした。
細かいさざ波をたてたような雲が逆さまに収まって、まだ登らない太陽をひと足先に受けていた。
月が細く淡く残ってごく薄い雲にもすぐ隠される。
雲に触ってみたかった。
夢のなかでしか見たことのない空の色に少しにていた。黄金色の桃朱色で。

小学校で絵本を描く授業があってわたしは迷わず雲の上に住む女の子の話を描いた。
女の子にとって雲の切れ間から先はみな海だった。
最後のシーンは海が、夕暮れ時に真っ赤になるところ。

階段をパピヨンを連れたおじいさんが登ってきた。
パピヨンは私のカメラの入ったポケットに顔をいれて匂いを嗅いだ。
なにも美味しいものもってないよ、と言うとおじいさんは甘えてるんだよね、と言った。
見上げると柿が干してあって、その柿も雨戸も手摺りや道端のお地蔵さん(こんなところに!!)もみんなあかかった。
日の出まで見ていようと思ったけど急に気温が下がったので少し走る。

走るといろんなことを考える。
逍遙と同じことだな、あとはしんどいからからだの使い方のことを次々に見つけようとしてイメージがわいてくる。

あんなに朝の空がうつくしい場所があるなんて。
教えてあげなきゃ。
右手のほうに見えたのは湖かな?まさか海ではないよね。
遠くて大きさがわからないから島影なのか雲なのかわからない。
小さな影を舟だと思うことにした。

いつも洗濯物干してるひとが今日はこんな朝っぱらから走ってどうしたのかな、ときっとカラスは思ってる。
空がきれいだったからだよ。
鳥たちも遊ぶようにからまりながら空の高いところまで昇ってた。朝が嬉しいんだろうか。巣でいちにちぐずぐずしている鳥なんていないのだろう。食べられないもの。
鳥はどこまで高くとべるんだろう?
高くまでいってみよう、今日は。って考えて挑戦してみることがあるのかな。