花園と森とを

01/15/2013

冷えた指先がやわらかくなったころ、片耳をお湯にひたしてみた。
ころころを水の転がる音がする。
熱い湯船との境。
耳を出すとまるで聞こえないのに水のなかだけで聞こえる。
鼻や目だけ出して仰向けになり、今度は両方の耳を浸ける。
雪どけ水の小川みたいだ、と思う。
オフィリア。
ぬるい藻が手足に時折からみ、雲が霧になって消えてゆく。
また、横たわって空を見上げるイメージ。瞳に空を全部まるごとおとすイメージ。
スタンド・バイ・ミーや桜桃の味だ。何度目だろう、このことを連想するの。
死の。

昔から、体験したこともないのにそこにずっといるような気がする景色がある。
どこかの水の底から遥か水面に浅く差し込む太陽を見ているのだけれど、
地面に横たわって、開いたままの目にうっすら水や雪が溜まって空にすべてがひらかれている、というのはまさにそれと同じではないか。と今更気付く。

目をとじると水の音は鳥のさえずりになった。