この星では寝転びながらうまくマスカラが塗れない

07/21/2013

ベッドに横になりながら天井に手を伸ばす。
朝日に産毛がひかっていてさらさらと反対がわに影を纏う。知らなかった窪みや、筋。うごめく指。
うつくしいのはその造形のためではなくて、重力に逆らってのびているからだ。
からだ全体は大地にはりついておおきなものの一部になっているのに、そこだけは強く健気に、みどりごみたいに苗みたいにくらくらと天に向かってる。
わたしはいつもそれを初めて見るもののように、眺める。
指同士を擦り合わせてみる。目が認識する「触れ合っている」ことと手が味わっているこの感触自体はどこでかけあわされているんだろう。
すごくすごく厳密に言えば、時差、みたいなものがあるのだろうか。あるんだろうなたぶん。
親指が薬指を感じているのと薬指が親指を感じているの、どちらが強いんだろう。どちらがよりあたたかいと感じているの?
いったいこれは「ほんもののかんじ」なのかな、とひっくり返るような感覚に陥る。
疑っていつまで触っても、わたしにはわからない。

知ってる?
寝転びながらではうまくマスカラが塗れない。
わたしの右手は重力を計算に入れてまつげを塗るという微妙な作業をいつのまにかこなしているのだ。
90度重力の方向が変わっただけで途端に計算が狂ってしまう。

空にいるさきっぽはいつもの重みじゃない。
いつもは指先に血があるのにね。
ベッドが押すからだのかたち。
ベッドが押さないからだの部分。
そんなことをひとつも気づかせずに、からだはわたしを生かしてくれてる。

"私は、星にいる。"
私の大好きな踊るひとは、自分の軸と地球のまんなかを結ぶことを教えてくれた。
くらくら天に逆らって、羽ばたいて、それでもしっかりむすばれているなら、こわいことはないな。
疲れて這いつくばったって、またわたしは懲りずに天井に手をのばしたくなるよ。


(踊りのことをうんうんと考えていた息抜きにアパートメントのれい時さんのコラム『あの日とは別の同じ』を読んで、わたしはちょっと違う気持ちで踊りたくなった。ので、繋がるみたいなことを書いてみました。)