funeral

09/12/2013

今住んでいる家の近くに「△△ funeral home」という建物がある。
居並ぶ建物たちとそう外見は変わらないのに、裏に大きな駐車場を持っている。
funeralって聞いたことあるはずの単語なのだけれどなんだっけ。
まあるくぱりっとした、しわのない印象のなにかだった気がする。
行政関係のことばだっただろうか。
そう考えながらもずっと調べずにいた。

ある時、その駐車場に車が2台隣合うかたちで停まり、家族が降りたった。
ゆっくりとふた家族は近づき、お互いに抱きしめ合った。
何か声をかけあっていたけれど聞き取れなかった。
その時に、そうだ、funeralは葬式だったんじゃないか、とはっとした。

なぜあの一瞬だけでこのひとたちが葬儀のために集まったと分かったのか、歩きながらずっと考えていた。
外国の映画(ゴッド・ファーザーとか)で結婚式や葬式のために親族が次々と車で集まり、久しぶり、最近はどんな様子だった、と抱きしめ合うあのシーンに、あのひとたちのからだや纏う表情が似ていたからだろうか。
わたしのなかに燻っていた "funeral" という単語は、目の前のひとたちに折り重なった瞬間、ことばとしてほころび、注がれた。
小さな頃にことばとものごとが結び付けられた時の感覚に似ていたのだと気づいて、しばらくからだのなかがなつかしく、涼やかだった。

今の季節、ちょうど私が帰る大きな通りのつきあたりに太陽が沈む。
美しい夕焼けを遠く眺めながら、あのひとたちは誰かと別れるためにここに来たのだ、ということを思う。

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どうでもいいことだけれど、中学のときの英語の先生が、「フォー・ウェディング」という映画の邦題についての誤りを教えてくれたことがあった。
原題は "Four Weddings and a Funeral" で、4つの結婚式と1つの葬式なのに、「フォー・ウェディング」じゃ複数形でもないからみんな "for wedding" だと思ってしまうじゃないか。みたいな話だった。
どうでもいいことだけれど。