産毛にしたがう

10/20/2013

あなたがいま持っているものはあなたが獲得したものじゃない。もらったものなのよ。あなたが獲得したものじゃないからいつかは尽きる。使い尽くさないうちに自分で獲得しなさい。おつりで生きなさんな。
母は小さいわたしにそう言った。
子どもごころに私はその「いつか」が怖かった。
おつりさえ使い果たした自分を恐れるあまり、そこに吸い寄せられるんじゃないかという気がした。
荷物を積んでいない貨物列車に飛び乗ってしまうからだを想像するように。
(このたとえはきっとあまり多くのひとには伝わらないだろうなあ)

雑音は身のうちにある。
耳を澄まそうとしてもがやがやとまっすぐ通ってゆかない。ぎざぎざ屈折して、聞き取るころには別の声の方が大きくなっちゃってる。
余計なこと全部むしって、でこぼことかもぜんぶなめして、ぴかぴかなびく稲穂になりたい。

ひとつ、答えがひらいた。
拾っては落としてきたものをふたたび触れるための。