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04/13/2012

小屋を出るといちめん沈んだ青だった。

月は出ていない。それでも夜の闇よりは浮き上がっていて、けれど太陽からは遠かった。
濡れたような細かい下草が尖って風はない。
目的をもぎとられたようにそこに佇んでいた。
輪郭のみえないからだは自分からも隠されて、わたしは確かにそこに立ちながらにして浮かんでいた。

ロープが手に触れている。
ロープには見たことのない花の蔓が巻き付いて、それは誰も見ることのない花だった。
たぶんそれはひとのはからいを超えたはじまりから咲いていて、そしてこれからもずっと咲いているのだ。
見られることなく咲いている花とはいったいなんなのだろう?
放埒に呼吸しながら、泥眼のようににおっている。

謐かだった。
ちいさな虫さえ息をひそめていた。

多分小屋から逃げなきゃいけないのだった、花がその先の町への道を促していた。