『セリーヌとジュリーは舟でゆく』 ジャック・リヴェット

01/01/1970

好きなレヴューを書くひとがこれを好きだと書いていてずっと見てみたかった。
家族と見始めたらお母さんもお父さんも退屈してしまって眠り込んだので一旦は断念。
今回は私ひとりで見た。

このところ『フェアプレイ』を読んでもりもりと、友達と家をシェアして時々ベッドにまな板とケーキを持ち込んで映画を見る、という光景に憧れを膨らませていた。
なんだかそんな甘さいっぱいの、女の子トークの映画。
落し物を拾ったことからはじまり、それが追いかけっこになってお互い興味を覚えてなんとなくちょっかいを出して仲良くなってゆく…という行動が可愛らしい。
セリーヌ役のジュリエット・ベルトのつかみどころのない魅力と、ちょっと地味にみせておいて発光したらふっつりいくようなジュリーが次々と物語を一緒に経験してゆく感じが飽きなかった。
魔法のキャンディやお人形を引き裂いて決める「どっちにしようかな」や洗面所の薬、タロットカードや呪文の本、奇術師…可愛らしくもちょっと妖しいアイテムばかり。
女の子をわくわくさせてくれる映画だなあと思う。
きらきら、よく笑うし。
夢か過去か、それとも少女の記憶か…を2人がちょっとずつ辿っていくシーンも面白い。
神経衰弱みたいにちょっとずつストーリーがめくられて、また別のシーンが語られる。
その続きを見るために魔法の飴を舐めたり魔法のお酒をつくったりするんだけれど、だんだんふたりがその記憶の中に入ってしまい、今の記憶を持ったままそこに出演することになるシーンがとても面白い。(なんかちょっとドリフみたいだなあって思ったりもしたけど)

過去の登場人物はどろどろの恋愛劇とそこから発生する殺人をそのまま永遠に演じている。
業のように、もしかしたらそれが起こった瞬間からずっと、時間の瑕のようなところで繰り返されてきたのかもしれない。
なのにその中の登場人物のひとりになりかわった2人は、くつくつ笑ったり台詞を忘れて焦ったり驚いたりしながらそのシーンの中で好き勝手に動く。
勝手に殺されるはずの女の子を連れて行っちゃうし、変な音楽をかけるし。
美しい悲劇は永遠に繰り返すことで生命を持っていたのに、急速にひずんでゆく。

アリスを助け出した二人を穏やかに見送る3人。
綺麗で、静かで、全然そぐわない時間を纏っていてちょっぴり怖いくらいだった。

そして今度アリスが夢を見るのはセリーヌとジュリーのいる世界。
追いかけっこは永遠に繰り返されることになる。
セリーヌとジュリーは舟でゆく