04/07/2009


決して深くはない沼。
泥の底からのびる植物がときどき若い芽を水面にのぞかせて、
そこだけが灰色の景色に色をそえている。
薄い雲が動き、止まった時にひかりを差し入れる。
やさしく、けれど決定的に。
急に与えられた空気を胸の奥深くまで吸い込む。
高い弦の音が響くみたいに途切れず震え、
空洞が満ち、壁が薄くうすくひろがり、しなやかにわななく。
また陰る。
奪われるように。

いつのまにか沼の表面にかすかな炎がたちのぼっている。
膜のように覆う灰色の空を折り畳んでゆくように、
透明だった炎は身を起こし色づいてゆく。
向こうの景色を揺らし、新しい芽から水を奪い、
複雑に組みあがった茎を折る。

その音だけがここへたどり着き、膝を折られても天を見ている。